#13 日本製ですか?と問われるたびに思うこと。

店頭販売してあると良く訊かれることがあります。

「これ、日本製のシルクですか?」

その瞬間、正直に言うと、心の中では

**「そんなわけないでしょう…」**と思ってしまうことがあります。

なぜなら、日本の養蚕農家は

いま驚くほど少なくなっているからです。

2005年ごろには約1700軒近い

養蚕農家がありました。

2024年には、わずか160軒

20年ほどで、10分の1以下になってしまいました。

そして、もう一つあまり知られていないことがあります。

繭玉が100トン収穫できたとしても

そのすべてが糸になるわけではありません。

繭の中には蚕の体があり、

さらに外側にはセリシンというタンパク質が付いています。

そのため、最終的に糸として使えるのは

わずか20トンほど。

つまり、

繭の80%は糸にならないのです。

こうして考えると、

シルクがどれほど手間と命の恵みから

生まれている素材なのかがわかります。

年配の方は繭玉を見ると「あら!懐かしい!

昔、母の実家はお蚕を飼っていたわ。すごい音立てて桑の葉を食べるのよね」

 そうなんです。昔のことになってしまいました。日本全国で見かけた桑の葉畑はもう見かけることもなくなりました。

 この糸は大地とその土の栄養、陽の光とそのちから、桑の持つ多くの神秘の栄養で作られた天の創造品。

シルクはただの繊維ではありません。

長い歴史の中で、人が蚕とともに作ってきた

文化そのものなのです。

しかし、日本製の繭は収穫されても衣類になるほどにはなれない量。多くは契約された和服の機織りの世界(高額取引)か、化粧品の材料へと変化します。安価な消耗品である肌着には向きません。

 そして最後に

日本の養蚕農家は、国の助成金を受けて農家を続けられてきましたが2026年助成金は終了します。この先はもっと高額になり、そして入手しにくくなることは避けられない実情です。