シルクの発見は5000年前。

ある中国のお姫様が遊んでいた繭をお茶に落とし、それを手繰り寄せているうちにコロコロと繭がほどけて長い糸になりました。

この糸から何とも美しい色合いと光沢の薄いオーガンジーのような反物が生まれた頃、日本はまだ弥生時代であったといわれています。

やがて絹は中国からヨーロッパへ運ばれ、その道がシルクロードと呼ばれることになりました。

卑弥呼、楊貴妃、クレオパトラらを魅了したシルク織物は、黄金にも替えがたい貴重なものでした。

そんなシルクは、美しいだけはなく、健康をはぐくむ天然素材でもあるのです。

シルクは、蚕の種類によっても様々な表情や風合いを持ち、最高級のドレスや着物から肌着まで、ありとあらゆるものに使うことができます。

絹糸のかたまり『繭』は蚕を守るカプセルのようなもの。

風雨や気温の変化に耐え、外敵を遠ざけ、排泄物に耐え得る抗菌力･･･

繭は、蚕が快適に成長するためのたくさんの機能を備えているのです。

綿と比較してシルクの下着は吸湿性が1.5倍。

また、綿が60分で放出する水分量をシルクは40分で放散します。

シルクの繊維の間には、ランダムに構成された無数の隙間があります。

この隙間にふんわりと空気を含んでいるので肌あたりが良く、外気の熱が伝わりにくいため、保温性も高いのです。

そして、適度な湿度を保ち、乾燥を防ぐため、静電気も発生しにくくなっています。

汗をかいてもさらっとした肌触りが持続し、冷え・乾燥からも体を守る。

シルクは『夏は涼しく、冬あたたかい』通年素材です。

優美なシルクは天然繊維の中で最も細く、最も長い繊維。

顕微鏡でよく断面を観察してみると、絹糸は表面が三角形になっています。

これが光を屈折させるプリズム効果を生み、さらに複雑な細かい繊維によってさまざまな光が生じて独特の光沢感が生まれます。

また、この三角形の表面は、適度に肌を摩擦・刺激して磨きをかけます。

さらに血流を促して内面からの刺激も促し、肌の若返りの効果を期待させてくれます。

シルクのアミノ酸成分『セリシン』は、天然の保湿作用や静菌(菌の増殖を抑える)作用を持ち、天然のUVカット効果があることも知られています。

絹のアミノ酸成分は、肌にたいへん近く、日本では古くから、湿らせた繭玉での洗顔など美容にも使われてきました。

動くたびに優美な表情を魅せるシルクは、体にも優しいシルクでもあるのです。

皮膚は、「脳に一番近い内臓」と言われ、皮膚で感じ取った「心地よさ」はそのまま脳へ伝達され、やる気ホルモンの「ドーパミン」の製造促進につながるそうです。

シルクのつるりとしたなめらかな肌触りや快適が持続する着心地は、心の栄養にもなります。

自然の中で育成している蚕のことを野蚕（やさん）、ワイルドシルクとも呼ばれます。

国や環境、種類により、色・大きさも様々で、糸の太さも均一ではなく、シャリ感のある肌触りが特徴です。

糸は多孔質のため、軽く、保温性に優れています。